コピーの不思議Q&A|Ricoh Japan


コピーの不思議Q&A


「不思議だなぁ...」と思うことが、科学する心の第一歩です。みんなが毎日便利に使っている機械の内側には、そんな不思議の秘密がぎっしり詰まっています。「キッズのためのQ&A」では、タカハシ博士とコーラ隊長が、皆さんから寄せられたコピー機、プリンター、ファックスについての質問にお答えします。なぜだろう?不思議だなぁ!と思ったら、ここをクリックしてメールで質問を送ってください。


コピー機の部品に関する質問コピー機の部品に関する質問

西村翔太くんからの質問:

「感光紙には寿命があるのですか?」

結論から言えば、寿命はあります。 本物のコピー機の中で使われている感光体には、様々な寿命のものがあります。 短いもので2千枚、中くらいのもので5万枚〜10万枚、長いもので100万枚以上使えるものまで、いろいろとあります。

どうして寿命があるのか、説明したいと思いますが、その前に、「コピー機になってみよう!」の実験でコピーを作る時の手順を、もう一度、おさらいしてみましょう。

コピーを作る時には、感光紙というピンク色の紙を使います。 まず、この感光紙にマイナスの静電気をいっぱいのせます。 そして、原稿を裏返しにして重ね、上から光を当てます。 すると光の当たった部分の静電気が消えて、光の当たらない、原稿に黒く書かれたところにだけマイナスの静電気が残ります。 つまり、原稿と同じ形にマイナスの静電気の像ができます。ですが、この静電気の像は目には見えないですね。

ここまでの説明を、絵にして見てみましょう。

実験の流れと感光紙

次に、トナー(インクの粉)が混じった鉄粉を磁石につけて、このマイナスの静電気の像ができている感光紙を、下の絵のようになぞります。

感光紙の上にできたマイナスの静電気の像

このトナーも静電気を持っています。 どうして、静電気を持っていたかというと、鉄粉とトナーを混ぜ合わせてこすると、鉄粉にはマイナスの静電気が、トナーにはプラスの静電気が現われてくるように作られているからです。

磁気ブラシ

下敷きをこすって頭にかざすと、髪の毛が引っ張られることは知っていますか? ものをこすると静電気が現われるのです。 これと同じで、鉄粉とトナーを混ぜ合わせてこすると、静電気が現われてくるのですね。 このトナーのついた鉄粉を磁石に吸い付けた状態を「磁気ブラシ」と呼びます。

このように、プラスの静電気をもったトナーを含む磁気ブラシで、マイナスの静電気をもった感光紙をなぞると、どうなるでしょう?

磁気ブラシで感光紙の上をなぞると...?プラスの静電気とマイナスの静電気はお互いに引き合います。

ですから、プラスの静電気をもったトナーは感光紙のマイナスの静電気に引き寄せられ、鉄粉から離れ、感光紙にくっつきます。



感光紙の上の静電気にトナーがつきますこの結果、それまで見えなかった感光紙上の静電気にトナーがくっついて、原稿の絵が見えるようになります。



転写の工程こうして原稿の絵を感光紙に写す事が出来ました。 次に、暗い部屋から出て、感光紙に紙を重ね、静電気を発生する装置に通します。 装置から出てきた感光紙と紙をはがすと、トナーは、今度は紙の方に移っています。 これも静電気の力でトナーを紙のほうに引っ張るわけですね。



転写の仕組みどうして紙の方にトナーを引っ張ることが出来るのか?というと、静電気を発生させる装置を通すと、紙にマイナスの静電気がたくさんのるので、プラスの静電気をもっているトナーは、今度は感光紙から引き離されて、引っ張る力の強い紙のほうに移ってしまうのです。

こうして、感光紙のトナー像を紙に移すことができました。



次に、紙に移したトナーがこすれて取れたりしないように、熱でトナーを融かし、紙の繊維にしみ込ませてから、冷やして固めることで、しっかりと紙にくっつけます。

定着の工程


クリーニングの工程最後に、感光紙を繰り返し何回も使用するために、磁石に鉄粉をつけて感光紙をなぞり、クリーニングします。 どうして、磁石と鉄粉でクリーニングできるのか?というと、鉄粉とトナーがこすれあって静電気が発生し、鉄にはマイナスの静電気が、トナーにはプラスの静電気が発生するので、鉄のマイナスの静電気に、プラスの静電気をもったトナーがくっついて、きれいにクリーニングできるのです。

こうして、クリーニングされた感光紙は、繰り返し何回も使用できます。



....と、復習が長くなりましたが、それでは感光紙が使えなくなるのは、どんな状態になった時かを説明します。

寿命となる主な状態は

  • 感光紙に静電気がのりにくくなった時
  • 感光紙に光を当てても、静電気が消えにくくなった時

感光紙(感光体)は繰り返し使っているうちに、上に書いた1、2のような症状が出てきます。 このような症状になると、きれいなコピーが取れなくなります。 こうなったら寿命ですので、新しい感光紙と交換することになります。