「不思議だなぁ...」と思うことが、科学する心の第一歩です。みんなが毎日便利に使っている機械の内側には、そんな不思議の秘密がぎっしり詰まっています。「キッズのためのQ&A」では、タカハシ博士とコーラ隊長が、皆さんから寄せられたコピー機、プリンター、ファックスについての質問にお答えします。なぜだろう?不思議だなぁ!と思ったら、ここをクリックしてメールで質問を送ってください。
コピー機の部品に関する質問
村形祥太郎くん、渡辺 匠くんからの質問:
「トナーは何度ぐらいで融けますか?」
トナーは150℃くらいで融けます。トナーは下の写真のような、小さな粉の形をしています。
定着部の定着ローラー表面の温度は160〜180℃程度です。 トナーを熱で融かすのは、紙にしっかりとくっつける為でしたね。 融けたトナーは紙の面に沁みこんで紙の繊維に絡み、絡んだ状態で冷えて固まると取れなくなるのですね。
滑らかに見える紙の表面は、顕微鏡で200倍、2000倍と拡大してみると、下の写真のように、ゴツゴツしているのがわかります。 細く糸のように見えるのが、紙の繊維といわれるものです。 紙はこのような繊維がからみ合ってできているのです。 融けたトナーはこの繊維に絡まり、その状態で冷えて固まると、紙の繊維にしっかりとくっついているので取れなくなります。
そしてコピー機の定着部では、熱だけでなく圧力も同時に加えています(赤本p.28、青本p.28を参照)。 熱と圧力を加えることで短い時間で紙にしっかりと定着できるようにしています。
コピー機の中で、定着は最も電気エネルギーを必要とするところになっていますが、コピーが必要なとき、すぐにとるためにはスイッチを入れてから、素早く定着ローラーの温度が160〜180℃)に温まってくれなければなりません。 そのため、800W(ワット)あるいは1200W(ワット)といった大型のヒーターを使っています。
このヒーターの熱効率は、パンを焼くトースターとか電子レンジ、あるいは冬に使う「こたつ」と同じくらいのW(ワット)数ですね。
コピー機が使う電気エネルギーを少なくして、より省エネタイプのコピー機を作るためには、定着のW数をもっと下げていくことが必要となります。 そのために、低い温度で融ける「粉のインク」の開発や、少ないW(ワット)数でも素早く温まる定着装置の開発などに取り組んでいます。