「不思議だなぁ...」と思うことが、科学する心の第一歩です。みんなが毎日便利に使っている機械の内側には、そんな不思議の秘密がぎっしり詰まっています。「キッズのためのQ&A」では、タカハシ博士とコーラ隊長が、皆さんから寄せられたコピー機、プリンター、ファックスについての質問にお答えします。なぜだろう?不思議だなぁ!と思ったら、ここをクリックしてメールで質問を送ってください。
コピー機の機能に関する質問
西野夏生さんからの質問:
「カラーコピー機でコピーできないものを教えてください。
たとえばカラーコピー機で黒い紙をコピーするとどうなりますか?」
二つ質問を頂きましたので、順番にお答えしますね。
「カラーコピー機でコピーできないものをおしえてください。」
カラーコピー機が苦手とする色に、蛍光色があります。 蛍光色は、最近では蛍光ペンや蛍光ラインマーカーにも使われている、不思議な光りかたをする色です。 蛍光の色材は、人間には見えない太陽光などに含まれている紫外線を吸収して光を発する性質があります。 ですから蛍光ペンで書かれたものは鮮やかに見えますね。 これをコピーすると、コピーの色材(トナー)には蛍光材が含まれていないので、色合いだけでなく鮮やかさも失われてしまいます(=再現できません)。
また、コピー機は立体物が苦手です。 原稿を置く原稿台のガラスの表面にピッタリと接しているものはコピーが取れますが、立体物はガラス面から離れてしまうため、画像がボケてしまいます。
腕時計や携帯電話を試しにコピーでとってみたものを右に掲載しましたが、どうでしょう。思ったよりは、よく取れていますね。
鏡を原稿台において、コピーするとどうなるでしょうか?
鏡は原稿台のガラス面にピッタリと接しますのでコピーがとれそうですが、実は鏡の部分が真っ黒になってしまい、コピーを取ることができません。 鏡のように表面の反射が強いものはコピーすることはできないのです。 原稿を照明した時に、鏡の面で一様に反射した光は、コピー機のレンズを通ってCCD(センサー)に到達しないので、コピー機は黒と認識してしまうのです (CCDについては「コピー機の不思議 大解剖」テキストの23ページに記述しています)。
「カラーコピー機で黒い紙をコピーするとどうなりますか?」
黒い紙を原稿にしてコピーすれば、黒いコピーがとれます。
ですが、西野さんの質問は、黒い紙にコピーするとどうなりますか?ではないかと思われますので、そちらに回答しましょう。
色が出るのは紙が白いからですね。 例えば、白い紙の表面に描かれた黄色(イエロー=Y)が黄色に見える理由は、下図に示すように、紙にあたった光(すべての色成分を含む白色光)から、黄色の成分が反射して目に入るからです。
白色光が黄色にあたって反射する時、白色光の内の青の成分は黄色(Y)に吸収されてしまい、それ以上進むことができません。 残った緑と赤の色光だけが黄色を通り抜けて、白い紙の面で反射され、その反射された緑と赤の色光が私達の目にとどいて、黄色が見えるわけですね。
もし、この黄色が描かれているのが黒い紙だったら、紙の表面に届いた緑や赤の色光は反射できませんから、私達の目に入ってくる色は、黒っぽく見えることになります。