「不思議だなぁ...」と思うことが、科学する心の第一歩です。みんなが毎日便利に使っている機械の内側には、そんな不思議の秘密がぎっしり詰まっています。「キッズのためのQ&A」では、タカハシ博士とコーラ隊長が、皆さんから寄せられたコピー機、プリンター、ファックスについての質問にお答えします。なぜだろう?不思議だなぁ!と思ったら、ここをクリックしてメールで質問を送ってください。
コピーの仕組みに関する質問
田中夢乃さん、秋元さんからの質問:
「実験の最後で使った磁石の棒はなんですか?どうしてこの棒でこすると感光紙が綺麗になるのですか?」
二人から頂いた質問は、「磁石の棒で何をしたのか?」ということと理解し、回答いたします。
「コピー機になってみよう!」で行った実験を、もう一度振り返ってみましょう。 そのために、まず実験の手順を書いておきます。 この実験の最後の手順7の説明で、秋元さんの質問に答えることができると思います。
- 手順1:原稿をつくる(絵を描く)。
- 手順2:感光紙に静電気をのせる。
- 手順3:感光紙に原稿と同じ形の静電気の像(潜像)を作る。
- 手順4:感光紙の静電気の像に、粉のインク(トナー)をつけて目に見える像を作る。
- 手順5:感光紙上のトナーの像を、静電気の力で紙に写す。
- 手順6:トナーに熱を加えて融かし、紙にしみ込ませて固めて、紙からはがれないようにする。
- 手順7:感光紙をクリーニングする。
感光紙は何回も繰り返し使用するので、次のコピーのために表面に残っているトナーを取り除きます。 磁石に鉄粉を付けた磁気ブラシで、感光紙の表面をこすってやると、トナーをきれいに取り除くことができます。
どうしてこのブラシでこすると、トナーが取れるのでしょうか?
磁石に鉄粉を付けて、感光紙の表面をこすると、鉄粉とトナーがこすれ合いますね。 鉄粉とトナーがこすれ合うと、鉄粉とトナーに静電気が発生します。 鉄粉にはマイナスの静電気が、トナーにはプラスの静電気が発生します。 すると、感光紙上に残っていたトナーは、静電気の力で鉄粉に吸い取られるのです。 トナーは、静電気ではなく磁力で磁石にくっついている鉄粉のほうへ吸い寄せられ、取り除くことができるというわけです。
磁石の棒は、磁力で鉄粉を固定しておくためだったのです。 この磁気ブラシで感光紙の表面をなぞり、残ったトナーを取り除く「ほうき」のように使っていたというわけです。