コピーの不思議Q&A|Ricoh Japan


コピーの不思議Q&A


「不思議だなぁ...」と思うことが、科学する心の第一歩です。みんなが毎日便利に使っている機械の内側には、そんな不思議の秘密がぎっしり詰まっています。「キッズのためのQ&A」では、タカハシ博士とコーラ隊長が、皆さんから寄せられたコピー機、プリンター、ファックスについての質問にお答えします。なぜだろう?不思議だなぁ!と思ったら、ここをクリックしてメールで質問を送ってください。


コピーの仕組みに関する質問 コピーの仕組みに関する質問

高橋まゆみさん、林 義勝くん、小林 空さんからの質問:

「コピーだけでなぜ小さくプリクラみたいになるんですか?」

良い質問ですね。 自分で作った原稿のコピーは、うまくできましたか? 自分で作ったコピーは、原稿と同じ大きさ(等倍)のコピーでしたね。 コピー機は、同じ大きさのコピーの他に、原稿を小さくしてプリクラのように並べるコピーを作ることもできましたね。

皆さんが暗い部屋の中で行ったコピーのとり方は、感光紙というピンク色をしたシートに静電気をいっぱい載せて、原稿に反射した光の当たったところの静電気を逃がして消し、光の当たらなかった文字や絵のところの静電気はそのまま残しましたね。 目には見えませんが、感光紙には原稿と同じ大きさの静電気の像ができていました。 そこにトナーという粉をつけ、これを紙に移して、熱をかけて紙にしっかりとくっつけたので、原稿と同じ大きさのコピーができたのですね。

つまり、静電気の像が原稿と同じ大きさだから、同じ大きさのコピーが出来たということになります。

感光紙の上に、原稿より小さい静電気の像を作り、たくさん並べることができれば、プリクラみたいなコピーを作ることができますよね。 実際のコピー機が、どうやってこの作業を行っているのかを説明します。

コピー機は原稿を端から端までセンサーでチェックし、絵や文字が有るか無いかをていねいに読み取っています。 そして、その読み取った結果をコンピュータの中に蓄えます。 ちょっとわかりにくいかと思いますので、絵で説明します。

円を描いた原稿今、右の絵のような原稿があったとします。まん丸の絵の原稿です。



原稿を横方向に10分割、縦方向に9分割、全部で90マスに分けますコピー機の中にあるセンサーは、原稿を縦と横の線で細かい領域に分割し、一つ一つの領域に絵や文字があるかどうか、読み取っていきます。 右の絵ですと、原稿を横方向に10分割し、縦方向に9分割しています。 つまり、全部で10×9=90の領域に分けています。



絵があるマスを1、ないマスを0として情報を蓄えますそして、絵や文字があるところは1というデータ、何もないところは0というデータとして、コンピュータの中に情報を蓄えていきます。 言い換えると、絵の描かれた原稿は、0と1という数字の情報として蓄えられます (このように、原稿を0と1のデータに変換するコピー機は、デジタル・コピー機です。 それに対して、皆さんが「コピー機になってみよう!」の実験で行ったように、原稿を感光紙に投影してコピーを作るのは、アナログ・コピー機です)。



データが1のマスには、レーザー光を当てないで静電気を残すので、インクの粉が付きます デジタルコピー機は、この原稿のデータに基づいてレーザー光線という「光の筆」を使って、感光紙に原稿の情報を書き込んでいきます。 データが0のところは、絵や文字がありませんから、レーザーの光を当てて静電気を消し去り、1のところは絵や文字がありますので、レーザーの光を当てないようにして、静電気を感光紙上に残します。 そうすると静電気が残っている1の領域に対応する感光紙上の場所にトナーというインクの粉が付くので、右の絵のようになります (右の絵の丸は、かなりガタガタの丸ですね!)。



分割するマス目を増やし、データがないマスは0、ある部分は1とし、データを蓄積しますこのガタガタの丸を原稿のようなまん丸に近づけるには、分割する領域の数を増やしていけば良いのです。 たとえば、右の絵は横を20に、縦を18に分割した絵です。 全体としては20×18=360の領域に分割しています (一つ前の絵は90に分割しましたが、今度は分割する領域の数を4倍の360に増やしたのです)。 絵や文字が無いところは0を、あるところには1として、データを蓄積します。



細かく分割された、1のマス目にトナーをのせると、よりなめらかな像ができますこのデータを使って、レーザーという「光の筆」で感光紙に書き込みましょう。 そしてトナーをつけてやると、右の絵のようになり、先ほどの絵よりは少し丸に近づきました。
実際のコピー機では、例えばA4の原稿(横29.7cm、縦21cm)なら、横方向を7,015に、縦方向を4,960に分割しています。 これは全体では、7,015×4,960=34,794,400という、物凄くたくさんの領域に分割していることを意味します。 それだけ小さい部分に分割すると、ほぼ原稿の通り、まん丸に近いコピーが得られます。



ここまでの説明で...

  1. コピー機は原稿を小さな部分に分割して一つ一つの部分をセンサーでチェックし
  2. 絵や文字があるときは1を、なにも無いときは0として、コンピュータの中に原稿のデータを蓄積し
  3. そのテーダに基づき、「光の筆」であるレーザー光で、0の領域にはレーザ光を当てて静電気を消し、1の領域にはレーザ光を当てずに静電気を残すようして、感光紙上に静電気の像を作り
  4. そこにトナーを振りかけて感光紙上にトナーの像を作っている

と、いう説明をしました。

次に、なぜプリクラみたいに原稿の絵を小さくできるのか、を説明します。 ごく簡単に言ってしまえば、原稿を0と1のデータに作り変えて、コンピュータの中に蓄積していますので、このデータの処理の仕方を変えれば、小さくも大きくもできるのです。

例えば原稿を4分の1のサイズに小さくする場合について説明します。 下図のように、元の原稿上の四つのデータ(2×2)を、一つのデータに書き換えてしまうのです。

書き換える方法は、四つのデータが全部0のときは0とし、四つのデータの中に1が含まれていたら1と書き換えます。 コンピュータはこのような変換が得意なので、瞬く間に書き換えが行われます。 このようにして書き換えたデータでは、原稿の全体に渡って四つのデータが一つに書き換えたために、元の大きさの4分の1になります。

もとのデータの4個のマスを、1個のマスにまとめれば、4分の1サイズのデータをつくることができます

そうして、0のところはレーザー光を当てて感光紙上の対応する場所の静電気を消し、1のところはレーザー光を消して静電気を残します。 そこにトナーを振りかけると、静電気が残っている1のところにだけトナーがついて、下図のようなトナーの像が得られます。

元のデータのトナー像は原稿と同じ大きさです。 それに対して四つのデータを一つに書き換えたデータでは、原稿の大きさに対して4分の1のサイズになったトナーの像となっています。 これを紙に移して、熱をかけて紙にしっかりくっつけてあげれば、小さいコピーとなるわけですね。

4分の1サイズにしたデータの、1のマスに静電気を残し、トナーをのせます

このようにして、原稿よりも小さなコピーが作られます。

そして、これをたくさん作って並べる場合は、コンピュータの中にあるデータを何度も呼び出して、「光の筆」で書いてあげればよいわけです。