「不思議だなぁ...」と思うことが、科学する心の第一歩です。みんなが毎日便利に使っている機械の内側には、そんな不思議の秘密がぎっしり詰まっています。「キッズのためのQ&A」では、タカハシ博士とコーラ隊長が、皆さんから寄せられたコピー機、プリンター、ファックスについての質問にお答えします。なぜだろう?不思議だなぁ!と思ったら、ここをクリックしてメールで質問を送ってください。
コピーの仕組みに関する質問
吉澤亜美さん、小鮒えりさんからの質問:
「どうして自分の描いた絵がもう一つできるの?」
「コピー機になってみよう!」では自分で原稿を作り、その原稿と同じコピーを作ることが出来ます。 どうして同じ絵がもう一つできたのか?不思議ですね。 それでは実験手順をもう一度振り返って見ましょう。
手順1:原稿を作ります。
原稿の例として、ここでは右の図のような原稿を作った(絵を描いた)とします。
手順2:感光紙に静電気をのせます。
暗い部屋の中で、ピンク色の感光紙を「静電気を発生させる装置」に通して、マイナスの静電気をいっぱいのせました。
手順3:感光紙に原稿と同じ形の静電気の像を作ります。
暗い部屋の中で、原稿の像を静電気がいっぱいのった感光紙に投影して光を照射します。
感光紙は光があたると静電気が消えてしまう不思議な紙です。 原稿の文字や絵があったところには陰ができて光があたらず、静電気が残っています。 文字や絵がなかったところは、光があたるので、静電気が消えてしまいました(ただし目には見えません)。
手順4:感光紙の静電気の像に、トナー(粉のインク)を付けて目に見える像を作ります。
どうしてトナーがくっついて目に見える像ができるか?というと、感光紙の上に残っていた静電気はマイナスを帯びていて、反対のプラスに帯電しているトナーを引き寄せたからです(どうしてトナーはプラスの静電気を持っていたか?というと、鉄粉とトナーを混ぜ合わせてこすると、鉄粉にはマイナスの静電気が、トナーにはプラスの静電気が現われてくるように作られているからです)。
下敷をこすって、頭にかざすと髪の毛が引っ張られるのを経験したことがありますか? ものをこすり合わせると、静電気が現われるのです。 これと同じで、鉄粉とトナーを混ぜ合わせ、こすると静電気が現われてきます。このトナーのついた鉄粉を磁石につけた状態を、「磁気ブラシ」と呼びます。
このようなプラスの静電気をもったトナーを含む磁気ブラシで、マイナスの静電気をもった感光紙の表面をなぞると、どうなるでしょう?
プラスの静電気とマイナスの静電気はお互いに引き合います。 ですから、プラスの静電気をもったトナーは、感光紙のマイナスの静電気に引き寄せられ、鉄粉から離れて感光紙のほうへ飛んでくるのです。
感光紙上の静電気は目に見えませんが、この静電気がトナーを引き寄せるため、原稿の絵が現われてくるのですね。 こうして原稿の絵を感光紙に移すことができました。
手順5:感光紙上のトナー像を静電気の力で紙に写します。
この作業は明るいところでもできるので、暗い部屋から出て、感光紙の上に紙を重ね、二枚を一緒にして静電気を発生する装置に通します。 出てきたら感光紙から紙をはがすと、紙にトナーの像が移っています。紙の上にいっぱい静電気をのせたので、感光紙についていたトナーが、今度は紙のほうに移ってきたのです。
手順6:トナーに熱を加えて融かし、紙にしみ込ませて固め、剥れないようにします。
手順7:感光紙をクリーニングします。
感光紙は何回も繰り返し使用するので、次のコピーのために表面に残っているトナーを取り除きます。 磁石に鉄粉を付けた磁気ブラシで、感光紙の表面をこすると、表面に残っているトナーをきれいに取り除くことができます。
どうしてブラシでこすったら取れたのでしょうか?
磁石に鉄粉を付けて、感光紙の表面を擦ると、鉄粉とトナーがこすれあいますね。 鉄粉とトナーがこすれあうと、鉄粉とトナーに静電気が発生してきます。 鉄粉にはマイナスの静電気が、トナーにはプラスの静電気が発生します。 そうすると、静電気の力でトナーは鉄粉にくっつくのです。鉄粉は磁石に引きつけられているので、磁石についた鉄粉の磁気ブラシできれいにトナーを取り除くことができるというわけです。
以上で質問にたいする回答といたしますが、小学生の皆さんにとっては難しいお話で、ごめんなさいね。