「不思議だなぁ...」と思うことが、科学する心の第一歩です。みんなが毎日便利に使っている機械の内側には、そんな不思議の秘密がぎっしり詰まっています。「キッズのためのQ&A」では、タカハシ博士とコーラ隊長が、皆さんから寄せられたコピー機、プリンター、ファックスについての質問にお答えします。なぜだろう?不思議だなぁ!と思ったら、ここをクリックしてメールで質問を送ってください。
コピーとコピー機の歴史に関する質問
笠康 平くんからの質問:
「カラーコピー機はいつからあるのですか?」
初めてのカラーコピー機は1972年頃に作られました。 これは、アナログのカラーコピー機でした。デジタルのカラーコピー機は1987年頃に作られました。 「コピー機になってみよう!」で使っているカラーコピー機は、デジタルです。
下記に、コピーの基本的な技術がいつ誰によって発明され、いつ頃どんなコピー機が作られてきたのかを、年代順に示します。
● 1930年代
コピー機の原理は1937年にアメリカのカールソンという人によって発明されました。 カールソンは、硫黄を溶かして金属の板に塗り、それを木綿のハンカチでこすって硫黄に静電気を発生させました(摩擦帯電といいます)。 その上に透明なガラス板を置き、黒インクで『10-28-38 ASTORIA』と書いて、上からランプで光を当て、ガラス板を取り除き、硫黄の表面に粉末をふりかけました。 そうして、右の写真のような粉末像を得ることが出来ました。 それを粘着性のあるものを塗った紙に押し付けて粉末像を紙に移すという方法で、紙に粉末の像を得たのでした。 これが、今日のコピー機の基本的な技術の元になっているのです(これは白黒の実験でしたが、1938年にはカラー化の提案もしています)。
● 1940年代
1944年からコピー機の開発に向けた研究開発が始まりました。 基本的な原理はカールソンによって発明されましたが、この原理を使ってコピー機にすることの研究開発が1944年以降、アメリカでスタートしました。
● 1950年代
1950年に最初の白黒コピー機が商品として発表されました。 これは手で動かすコピー機でした。 手で動かして、白黒のコピーを作り出すので、一枚コピーを取るのに2〜3分も時間がかかりました(最初のアナログコピー機)。
その後、1959年に最初の全自動の白黒コピー機が商品化されました。 一分間に6枚コピーできました(アナログコピー機)。
● 1970年代
1972年、普通の紙にカラーコピーがとれるカラーコピー機が商品化されました(アナログコピー機)。 1972年以前にもカラーコピー機はありましたが、普通の紙にカラーコピーが取れるものは、1972年になってからでした。
● 1980年代
1987年にデジタルカラーコピー機が商品化されました。 カールソンがコピーの基本原理を発明してから70年近く経ちました。 この間に多くの技術者たちが研究開発を重ねて技術を改良し、今日のようなカラーコピー機に至っているのですね。 技術の改良はこれからも続けられるでしょうね。